田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師の道具と処置‐

削蹄師は、人間でいうところの爪にあたる牛の蹄(ひづめ)を定期的にカットして形を整え、牛が快適に過ごせるようにサポートする職業のことです。「房州削蹄所(ぼうしゅうさくていじょ)」を立ち上げ、削蹄師として活躍している山川弘恭(ひろたか)さんに、削蹄師が使う道具や処置方法についてのお話しを伺いました。

「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?」の最終回になります。

 

削蹄師の作業風景

牛を固定する枠へと牛を誘導する山川さん

山川さんがどのようにして削蹄師になったのかは「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師を目指して独立するまで‐」、削蹄師の仕事については「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師の魅力と一日の様子‐」をご覧ください。

 

削蹄師が使う道具たち

山川さんが経営している房州削蹄所(ぼうしゅうさくていじょ)では、牛を固定するためにスペイン製の油圧式の枠を使用しています。昔は牛舎の中で牛の足を持ち上げながら、鉈(なた)などの道具を使って作業をしていました。牛の足を抱えながらの作業は危険を伴い、身体への負担も大きかったのですが、安全性の高い枠を使うようになり、作業効率も一気に向上したそうです。

 

削蹄師の道具

昔は電動工具ではなく、鎌型蹄刀(かまがたていとう)、剪鉗(センカン)鉈などの道具で削蹄作業を行っていました。鉈で蹄(ひづめ)の周りの長いところをカットして、硬いところを剥がして鎌型蹄刀で仕上げ、ヤスリをかけて整えます。現在は電動工具のグラインダーを使い、作業効率も良くなりました。

 

牛の足にヒールを履かせる

削って処置を施した患部が地面に着いてしまうときは、治りを早くするために木製のヒールを履かせます。厚みやサイズの異なるヒールを牛の蹄に合わせて削り、オーダーメイドのヒールに仕上げて病気の蹄に体重をかけないようにします。ヒールは、蹄の松葉杖のような役割を果たすのです。

削蹄師の作業風景

ヒールの形や材質は、楕円形のものやスリッパのような形のもの、木製や樹脂製のものなどさまざまで、接着面積が広いものはそれだけ外れにくくなります。どの形状のものも下面が少しずつ擦り減り、病気のあった蹄が良くなる頃には自然に外れるようになっています。

ヒールの材質や形状により、外れるまでの期間が長くなり、長期間ヒールが外れないままでいると均衡感覚のバランスを崩す恐れがあるため、房州削蹄所では、1~2カ月で自然に外れる写真のような木製のヒールを主に使用しています。その場しのぎではなく、牛に寄り添いながらの長期的な処置に、この仕事の奥深さを感じました。

 

まとめ

これまで3回にわたり「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?」をお伝えしてきましたが、いかがでしたか?削蹄師になるための特別な学校はなく、弟子入りして学ぶ世界は取材するまで私にとって未知でした。

酪農発祥の地である南房総ならではのお仕事ともいえる削蹄師。取材中に垣間見たその仕事内容は、牛一頭いっとうの蹄と向き合い、牛がストレスを感じることなく心地よく過ごせるように蹄を整え、牛の健康を守るためになくてはならないお仕事だと知ることができました。

房州削蹄所Facebook ページ: https://www.facebook.com/%E6%88%BF%E5%B7%9E%E5%89%8A%E8%B9%84%E6%89%80-311652396209314

山川さんの下で働く助手たちについての記事は「元エステティシャンが、新型コロナウイルスの影響で出逢った削蹄師(さくていし」をご覧ください。

田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師を目指して独立するまで‐

田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師の魅力と一日の様子‐

なべたゆかり

なべたゆかり

熊本生まれ、兵庫育ち。 国内・外を放浪したあと、2011年1月南房総に漂着。 築百年余りの古民家を改修しながら、犬、猫、ヤギとの生活を満喫中。 田んぼや畑だけでなく、イベント出店やライター業など、“暮らしから生まれる百の仕事をこなす”立派な百姓を目指して活動中。 ◆安房暮らしの日常ブログ https://awaawalife.com/ ◆インスタグラム https://www.instagram.com/awaawa_life/?hl=ja

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