元エステティシャンが、新型コロナウイルスの影響で出逢った削蹄師(さくていし)

削蹄師は、人間でいうところの爪にあたる牛の蹄(ひづめ)を定期的にカットして形を整え、牛が快適に過ごせるようにサポートする職業のことです。

削蹄師については、3回にわたり紹介しています。まずは田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師を目指して独立するまで‐の記事をご覧ください。

南房総エリアの酪農家を巡回して削蹄の仕事をしている「房州削蹄所(ぼうしゅうさくていじょ)」。ここで助手として働く小山みささんと渡辺真弓さんに、この仕事に出逢った経緯を伺いました。

 

房州削蹄所

左:小山さん、真ん中:房州削蹄所の山川弘恭(ひろたか)さん、右:渡辺さん

 

エステティシャンと動物保護活動で2拠点生活

小山さんは、都内でエステティシャンとして働いていました。動物が好きで、2017年からは南房総エリアで犬の保護活動を行い、2拠点生活をスタートさせました。

2020年に新型コロナウィルスの影響を受けて収入が10分の1になり、お店が休業になったのを機に南房総に移住。保護犬の世話をしながら仕事探しを始めました。そんなとき目に留まったのが「子育て中の方を応援します」や「休日、仕事内容等は相談に応じます」などと書かれた融通が利きそうな、房州削蹄所の求人でした。

房州削蹄所を検索してみると、ヤギや犬を飼っている様子が分かり「ここがいい!」と思いました。早速問い合わせてみると、希望した事務員はすでに決まったあとでしたが、面接だけでもしてもらえることに。

山川さんから削蹄師の仕事について話を聞いた小山さんが「削蹄おもしろそうですね」と興味を示すと、削蹄の助手として雇ってもらえることになりました。「小山さんはエステティシャンとして接客をしていて社会人経験もあるから、削蹄が初めてでもゼロスタートじゃない」と山川さんは言います。

 

削蹄師の作業風景

取材したのは、小山さんが削蹄助手を始めて1カ月半ほど経ったころでしたが、さっそうと牛を誘導し、一歩先を読んでてきぱきと行動する様子から、彼女が身に付けてきた社会人経験を覗わせました。

 

大型動物の扱いを学びたい!元エステティシャンが削蹄師助手にチャレンジ

渡辺さんは、エステティシャン仲間の小山さんから削蹄師の仕事について話を聞き、興味を持ちました。馬が大好きで将来馬を飼いたいと思っている渡辺さんにとって、牛の蹄の手入れや大型動物の扱い方が学べるのは大きな魅力でした。

小山さん同様、渡辺さんも新型コロナウィルスの影響を受けて勤めていたエステ店が倒産。エステティシャン以外に、和裁士の針子として弟子入りし、5年間修行していた経歴を持つ渡辺さんは、削蹄師助手としての仕事も人生に役立つと思いました。

私が取材した日は、渡辺さんの初仕事の日でした。山川さんから牛の足を固定する方法の指導を受けながら、真剣に取り組んでいました。

 

牛のエステティシャン誕生

「システムがエステと同じなんです」と話すのは、小山さん。「血液とリンパの滞りを解消して循環させ、ふくらはぎを使いやすくするのが人に行うエステ。削蹄も同じで、ヒールで踏ん張れない牛の蹄をスニーカーに履き替えさせて、血液とリンパの滞りを解消してあげるイメージで作業をしています」と話してくれました。

 

削蹄師の作業風景

 

もともと、動物と人間も同じだろうと思ってエステの道に進んだ小山さんにとって、削蹄師助手の仕事は牛のエステティシャンと同じだったのです。

新型コロナウイルスの影響で仕事を失いながらも、新たな仕事に挑戦し続けている彼女たちの今後がとても楽しみです。

 

房州削蹄所Facebook ページ: https://www.facebook.com/%E6%88%BF%E5%B7%9E%E5%89%8A%E8%B9%84%E6%89%80-311652396209314

なべたゆかり

なべたゆかり

熊本生まれ、兵庫育ち。 国内・外を放浪したあと、2011年1月南房総に漂着。 築百年余りの古民家を改修しながら、犬、猫、ヤギとの生活を満喫中。 田んぼや畑だけでなく、イベント出店やライター業など、“暮らしから生まれる百の仕事をこなす”立派な百姓を目指して活動中。 ◆安房暮らしの日常ブログ https://awaawalife.com/ ◆インスタグラム https://www.instagram.com/awaawa_life/?hl=ja

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