千葉県館山市にある高梨製作所は、今では千葉県で1軒しかない鍛冶屋(かじや)さん。そこでおもに包丁、房州鎌(ぼうしゅうかま)、鍬(くわ)を作っている高梨欣也(きんや)さん81歳(2018.5現在)。昨年(2017.11)、高梨さんの作る房州鎌が、国から伝統的工芸品に指定されると新聞や、専門誌で取り上げられました。今では全国から注文がくるようになり、忙しい毎日を送っています。そんな職人の技が盛りだくさんの商品をご紹介します。
普段使いの包丁におすすめしたい3タイプ
地がねの中にはがねを入れ、付けて熱し叩いてできた包丁。安くて大量生産されている包丁の刃先には、はがねが付いていないものが多く、すぐに切れなくなってしまいます。研(と)いでもまたすぐに切れなくなります。 はがねを付けることにより、切れ味の良い包丁ができます。切れなくなっても研げば今までどおりの切れ味に復活。何よりも長持ちで何十年と使えます。 見た目にはピカピカの包丁と違い「コレ切れるの?」と思いますが切れ味はバツグン。
左から文化包丁(刃の部分のサイズ約17㎝) 10,000円(税抜き)
菜っきり包丁2本(刃の部分のサイズ約17㎝) 10,000円(税抜き)
魚包丁(刃の部分のサイズ約22㎝) 20,000円(税抜き)
高いと思うか、安いと思うか、使ってみると違いがわかります。 筆者の自宅では大きい魚包丁があり、硬いかぼちゃを切るのに大活躍です!! ※高梨製作所にて商品販売しています。基本的に受注生産で、オーダーに応じてお好きなサイズで作ってくれます。
※地がねは柔らかい鉄、はがねは硬い鉄。
職人の技が満載の房州鎌(ぼうしゅうかま)。
移住して農業をやりたいと思っている人におすすめの鎌。一見普通の鎌に見えますが…。 地がねにはがねを入れ付けて熱し、叩いて均等な厚さに伸ばし90度の角度をつけて曲げる。市販の鎌は、ここが90度になっていなく緩やかなカーブになっています。この角度を付ける技術を習得するのに数十年かかります。
鎌の上部の部分にトタンのように波を数ミリ付けることにより強度が増します。
この細かい技術が鎌を折れにくくし、細くなっても使用できます。細い鎌(上)は、もとはこのサイズ(下)です。
持ち手と鎌の接続部分を微妙な角度をつけて、バツグンの使いやすさで長時間使用しても疲れません。何よりも軽量で作業がはかどります。 また「こば入れ」といって、表から鎌を叩いて裏側にきれいな模様を出し美しく仕上げる。これも職人の技のひとつ。細かい技術が詰め込まれた「まるいち印」の鎌。1本作るのに掛かる時間は3時間、意外と短い。
ほとんどの人は使用後に放置し、サビで鎌をダメにしてしまいます。お手入れ方法は、長期使用しない場合はきれいに拭いて食用油を塗って保管すれば一生持ちます。
1寸(約3㎝) 1,000円(税抜き)で受注生産しています。 一度使うとこの鎌の良さがわかり、他に変えられなくなります。
気軽に立ち寄って見学
道の駅とみうら「枇杷(びわ)倶楽部」で鎌や包丁の展示販売を始めました。 正面玄関を入って右側に展示されたショーケースがあります。 こちらで鎌を購入していく人もいます。
房州鎌の特徴は90度に曲げられた鎌、上部のトタンのような波型の溝、こば入れによる裏側の美しい模様の3点。
店員さんに頼んでショーケースから出してもらえます。 実際に持つと軽さに驚きますよ。
まとめ
まるいち印の商品を長年愛用している人達から、続けて欲しいとの声に応えて66年の月日が流れました。 後継者がいなく今後この技術が無くなるのは寂しい限りです。 ご興味があれば、一度高梨製作所に訪れてみてはいかがでしょうか? 今年(2018.4)、館山市の魅力発信と館山のファンつくりを担ってもらうために「ふるさと館山 魅力発信アンバサダー」に就任。また、千葉県館山市のふるさと納税の返礼品に房州鎌や包丁がありますよ!
<高梨製作所>
〒294-0051 千葉県館山市正木1732
TEL 0470-27-2199