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インタビュー 移住

「おせっ会」八代健正さんに聞く ~移住はこの20年でどう変わったのか~ 【後編】

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移住は幸せ計画 ― 移住者たちの物語と、その先へ

移住者はエネルギーの塊

これまでに膨大な数の移住相談を受け、その後の手助けもしてきた八代さんからみて、移住する人々の気質や特徴はどのようなものなのか聞いてみました。

―― 移住者は、昔も今もエネルギーの塊のような方々です。私のようにもともと地元に生活の基盤や人間関係があった人間からすると、未知の土地に来て生活を築こうという人はスゴイとしかいいようがありません(笑)。実際、「ふつう、そこにはたどりつかないだろう」と思えるような意外な結果を出す人も多いです。例えば「シロウトがやったところで無理だよね」と思われていた人がカフェを開いて人気店にしたケースも見ましたし、「こんなところでやってもうまくいかないだろう」と思われた場所で店をオープンして成功させたケースもありました。そもそも、それまでの生活を手放してゼロ…というより、マイナスポイントからスタートできる人たちなので思考が豊かで、いつも驚かされてきました。

都会の夜の世界の男性、漁師になる

エネルギーの塊の移住者のなかでも、とくに印象に残った方についてお話いただきました。

―― ある日の移住相談のこと。この辺では見たこともないようなおしゃれな服をまとった男性がやってきました。足元も先が尖った革靴です(笑)。美人の奥さんと、お二人に似たかわいらしいお子さんも一緒でした。
聞くと、「今は東京で働いているけれども、漁師になりたい」と言います。
見るからに夜の仕事で稼いでいそうな男性が、本気で漁師になる気があるとは思えませんでしたが、とにかく、漁師になるための道筋をお伝えしました。

数年後のことです。雨の夜、コンビニに立ち寄ると「八代さん!」と声をかけられました。振り返ると、雨合羽に長靴…いかにも漁師さん、といった出で立ちの男性が立っています。誰だったっけ? 雨に濡れているせいではないでしょうが、水も滴るカッコいい男性です。ああ、いつか移住相談に来たあの男性だ!

聞くと、「漁師になって3年過ぎた」とのこと。すっかりガタイがよくなって別人のようではありましたが、相変わらずイイ男でした。まさか本当に漁師になっていたとは…驚きました。

…このお話だけで短編小説が書けそうです。こうしてみると移住というのはドラマの宝庫とも言えそうですね。

移住Jr.世代の誕生

さて、八代さんが移住相談をはじめてから20年、そろそろ世代が移り変わってくるころです。そのあたりのお話をうかがいました。

―― 「おせっ会」をはじめたころに移住された方のお子さんが大きくなって就職する時期になってきました。連れてこられたときには小学生だった子が高校を出て就職した、という話もよく聞くようになりました。「館山が好きだから地元で働く」と言ってくれたと聞くと本当に嬉しい気持ちになります。地元で結婚する子も出てきました。いったん都会へ出て修業して、館山に戻って店を開いた子もいます。そうした移住者Jr.たちが増えてきました。

…移住者Jr.たちの活躍は、もとをたどれば、長年八代さんが移住者の支援を続けてこられた賜物と言ってよいのではないでしょうか。

移住は真剣勝負

移住支援の活動の中で、大変だったことについて、お聞きしてみました。

―― 移住は人生をかけた真剣勝負です。サポートする側も楽しいことばかりではありません。移住して間もないころは、みなさん、他に頼る人もいないので、トラブルが起きると私のところへ連絡をされてくることがあります。夜中にかけつけたことも何度もありますし、移住後にさまざまなことで悩みや困り事が起きて、相談されることもあります。いわゆる移住の失敗というのも数件見てきました。20年見てきて、地域で絆を持てた人はうまくいく…問題が起きても乗り越えられるものだと感じます。

私は1968年生まれです。今、移住を真剣に考えたり、実行したりしているのは私と同世代の人がいちばん多いです。
この世代は、バブル崩壊後の、不安の中を生きてきた世代です。必死になって切り抜けてきた人生の後半、定年が近づいて「後の人生をどう生きるか」ということを考えているようにみえます。

移住はリセットではなく、シフト

―― こうした、私と同世代の方をみていると思います。「移住計画は幸せ計画である」と。もちろん、これはすべての世代の方にとっても同じです。移住はそれまでの人生をすべて使って実行します。キャリアも経験も資産も人間力も。そういう意味でも移住は人生のリセットではなく、人生をシフトさせることだと言えるのではないでしょうか。私としても例えば「キャリアはこう活かしたら?」といった提案をさせてもらえればな、と考えています。そして、この土地で生まれ育った者として、この土地で価値を生み出すことを考えていきたいと思っています。ここは人が元気を取り戻せる場所だと思っているので、その価値を高めていくのがいいと。人生をリスタートして、より豊かなライフスタイルを築ける可能性に満ちている場所ですから。

 

渚の駅たてやまのテラス。ここから館山湾を望むことができる

インタビューを終えて

「いやあ、あのとき相談にのってもらって助かったわ~」と呑気に思っていた私ですが、今回お話をうかがいながら、八代さんがこれまで多くの人々の人生の節目に立ち会い、支援を続けてこられたことの重みをあらためて感じました。

そして私自身も、移住をきっかけに人生を「シフト」させてもらった一人です。こうして地域で暮らしながら情報発信をしているのも、その延長線上にあるのかもしれません。

館山・南房総地域が、これからも多くの人にとって新しい人生の一歩を踏み出す場所であり続けてくれたら――そんなことを思いながら、取材を終えました。

(本記事は、2026年2月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています)

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 この記事を書いたのは…

あわみなこ
あわみなこ
千葉県松戸市出身
長らく東京でOLをしていましたが、2014年に東京から南房総市へ移住。今は、パソコン個人指導、事務代行、ホームページの作成、クラウドソーシングなど、できることはなんでもやってサバイバル中。
「自分が自分のボスであること」をモットーに日々過ごしています。
ライターの仕事を通してこの地域はもちろん、世界中の人々とつながって生きていきたいと思っています。趣味はブログ、ヨガ、読書など。
(Webサイト)
◆南房総極楽日記 ~Good-by 東京 Go Go 和田町!~
http://minamiboso-country-life.com/
◆あわみなこパソコンサポート
http://awaminako.com/
◆~今日も断酒天国~アルコール依存症ぴなこ「今日一日」のためのウェブサイト
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