ジビエ料理の【山くじら×海くじら】に引き寄せられて…

この秋、北陸では熊が里山に下りてくるというニュースをよく耳にしますが、南房総でも同じ状況にあるようです。南房総市では熊こそ出ませんが、最近日中でも猪を見かけることが多くなってきました。実際、私も夕方に家の裏の田畑で大きな猪を見かけ、人と獣との境界線がとても近くなってきているように感じます。
そんな中、合同会社ALCO(アルコ)の沖浩志(おきこうじ)さんが催す第7回ヒトサラジビエ『山くじら×海くじら』のイベントが目にとまりました。このネーミングに「何?なんかおもしろそう」と思い、取材を申し込みました。

〈そもそもジビエってなに?〉
ジビエとは、狩猟によって食材として捕獲された野生の野生鳥獣やその肉のこと。狩猟の盛んなヨーロッパでは、ジビエ料理が食文化として育まれ、主にフランス料理に受け継がれてきました。近年では、農作物の害獣対策として捕らえた狩猟肉を「ジビエ」として料理に活用し消費を拡大していこうという取り組みが各地で進んでいます。

〈ヒトサラジビエ仕掛人・沖さんにインタビュー〉

このイベントを主催した沖さんは、単なる害獣駆除ハンターではなく、彼曰く里山生態師なんだそうです。里山生態師とは、「その地域の最適な生態系のバランスを見る人」という沖さんが思い描く人。穏やかそうな見た目とは違い、「残りの人生は安房地域のために捧げたい」と願う熱い方なんですよ。このイベントについてお話をうかがいました。

 

●ヒトサラジビエとは?
「ジビエ(野生肉)を食として楽しむだけではなく、ヒト=捕獲者・料理人、サラ=食器・食材のストーリーに焦点を当てた企画です。ジビエ料理を彩るのは、料理人だけではなく捕獲者、それを盛り付ける食器、合わせる食材のすべてがあるからこそだと思うのです。これまでに、ジビエとハーブ・フレンチ・イタリアンなどとのコラボを開催しています。」

●【山くじら×海くじら】のコンセプトは?
「『海くじら』はもちろん海にいるクジラのことですが、『山くじら』はイノシシのこと。昔、野生の獣を食べる文化の無かった時代にクジラの代用品として呼称していたのが始まりと言われています。今回はイノシシvsクジラの食べ比べというテーマでもあるのです。」

●このイベントを通して伝えたいコトは?
「地元の旬のモノを食べている生き物は、その時に食べた方がおいしいんですよ。地元で捕れるジビエのおいしさに気づいて欲しいです。」

●今回のジビエ料理の協力者は?
◯ヒト=捕獲者・料理人
・イノシシ肉の提供は、もちろん沖さんより。
・クジラ肉の提供は、外房捕鯨株式会社の阿部龍太(あべりゅうた)さんより。
・料理人は、隠れ屋敷 典膳(てんぜん)店主の山本剣(やまもとけん)さん。
◯サラ=食器
・食器(カッティングボード)は、家具工房つなぎの中田洋之(なかだひろゆき)さんのもの。


〈ヒトとサラを囲んだお食事会でした〉

今回のヒトサラジビエは、猪が本当に出てきそうな山奥にある隠れ屋敷 典膳で開催されました。このイベントは、料理に彩を添えてくれた方々を囲み、お話も聞けるお食事会でした。
料理は、猪と鯨がメインの和食コース料理。なかなか食べることのできない鯨の珍味に、典膳さんが南房総名品グランプリで受賞された一品など、数々の自慢の料理をいただきました。

美しい木目のカッティングボードにのる鯨と猪肉の盛り合わせは、おもわず「きれい~‼」と身を乗り出してしまうほど…。炭火でジュージュー焼きながら、知らない者同士いっきに距離が縮まる料理でした。
典膳料理人の山本さんは、狩猟免許も持っており、最初の頃の狩猟話を聞かせてくれました。「檻の中の猪を槍で刺した時、なかなかひと思いに殺せなくて、猪が苦しんでいるのが見ていられなかった。次からは苦しまないように、鉄砲で打つことに切り替えることにしたんだ。」
生々しい光景が浮かびましたが、私たちが生きるために生き物の命を誰かが絶ち、料理してくれるからこそ、こうして食べられるんだと心から思いました。

 

 

 

 

 

また、今回ヒトサラジビエに参加した方は、飲食店関係者が多かったように思います。それだけジビエに興味関心をもっている方々が多いということなのでしょう。
これからのジビエの活用に広がりを感じたひと時でした。 これを機に、当たり前のようにいろんなお店でジビエ料理が食べられるようになるといいですね。

●まとめ●
この取材中に、沖さんが「本当は生き物を殺したくはないんです」とポツリと呟いた言葉は、生き物を愛する彼の本音だと思うのです。
その言葉を心に刻み、私も「たとえ害獣と呼ばれようとも、それはたったひとつの命。人間が生きる手段としてひとつの命を絶ったのだから、最後は人の手でおいしくいただこう」とあらためて思いました。
そして、ジビエ料理の広がりをもっと応援していきたいです。

◯参考欄
今後ヒトサラジビエに参加したい場合、まずは合同会社アルコのFacebookをご確認ください。
※発信の順番は、アルコFacebook→地元webメディア(房総タウン)→地元新聞(房日新聞)。
※Facebookで参加者が満席になった場合は、それ以降の発信はしていないそうです。

合同会社ALCO  https://www.facebook.com/llcalco
                                  http://llcalco.com/
外房捕鯨株式会社 http://www.tsu-kujiraya.com/
隠れ屋敷典膳   https://tenzen2.wixsite.com/mysite
                                  住所:南房総市宮下1822-1
                                  TEL:0470-46-4137
                                 メール:tenzen@kxb.biglobe.ne.jp
家具工房つなぎ カッティングボード専門店『Daughter&Son』  https://daughterson.handcrafted.jp/

shouji naomi

香川県出身。 只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。 プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。 ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。

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