田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師の魅力と一日の様子‐
削蹄師は、人間でいうところの爪にあたる牛の蹄(ひづめ)を定期的にカットして形を整え、牛が快適に過ごせるようにサポートする職業のことです。「房州削蹄所(ぼうしゅうさくていじょ)」を立ち上げ、削蹄師として活躍している山川弘恭(ひろたか)さんに削蹄師を目指して独立するまでのお話しを伺いました。
「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?」の2回目、削蹄師の魅力と一日の様子編になります。
山川さんがどのようにして削蹄師になったのかは「田舎ならではのお仕事。削蹄師(さくていし)って何?‐削蹄師を目指して独立するまで‐」をご覧ください。
削蹄師としての仕事のおもしろさ
「この仕事には、答えと終わりがありません。牛は一頭ずつ大きさや性質、環境、蹄の作りも一本ずつ違います」と山川さん。季節や、妊娠、出産、搾乳のステージに合わせて蹄の状態を整えていくそうです。削蹄してから次の削蹄までの経過をみて、前回の状態がどのように影響しているか、この処置で正しかったかを判断していきます。個体と環境により処置方法が異なるため、絶対的な答えもなければ、これをやったら終了という終わりもないそうです。
「基本的な作業手順は変わらないけれど、毎回それぞれの牛の違う蹄に出会うのがおもしろいです」と削蹄師の魅力を話てくれました。
見た目を美しく整えるだけではなく、形を整えることによって発情がくるようになったり、発育がよくなったりします。「人間でいうところの靴を、オーダーメイドで作ってあげるのがぼくらの仕事です」と山川さん。靴が合っていないと、足を傷めるだけでなく身体全体のバランスを崩してしまうように、牛にとっては削蹄が健康を保つ大切な役割を果たしているのです。
一つずつ蹄を確認し、必要に応じて整える様子は、私には歯医者さんが歯の治療をしているようにも見えました。
削蹄師の一日のスケジュール
削蹄師は、お客さんの牧場が仕事場になります。
7時半~8時 出発 仕事場になる牧場へと向かい、到着後準備に30分
9時~9時半 削蹄の仕事スタート 途中昼休憩と適度に休憩を入れる
15時~16時 仕事終了 片付けをしてから帰宅
基本的には1日に1現場。酪農家によっては朝早いところも、遅いところもあります。仕事帰りにちょっと様子を見に来てほしいというお客さんもいるので、一日のスケジュールはまちまちです。
蹄の状態が良くない場合に処置をするだけでなく「出血や病気の原因を牧場主にちゃんと説明することが大切なんです」と山川さんは言います。削蹄師は、酪農家の方と一緒に牛の情報を共有し、牛の生活向上、健康を守る仕事でもあるのですね。
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次回は削蹄師が使う道具や処置について伺います。