貯金なし夫婦が和田町へ(2)生活費はどう稼ぐ
都会暮らしから離れて田舎に移住・・・そのとき高々と現れる障壁が「仕事がない。生活費が稼げない」ということ。これは一面本当のことなのですが、仕事や生活についての考え方を変えてみると、決してそうとばかりはいえません。田舎は就職難であると同時に求人難なのです。
私たち夫婦の体験、また他の移住者の身の振り方などを見てきて思うところを書いてみます。
(あわみなこ&その夫の場合)
私の夫は神奈川県川崎市で、福祉施設の施設長を務めていました。南房総近辺では同様の施設はなく、52歳という年齢での就職活動はやはり難しいものでした。正社員・正職員の求人数が少ない上に、当時は無資格。求人があっても条件が厳しく、なかなか決まりません。失業保険の給付待機期間中に現在勤務する施設から「採用したいけど準備が整うまで少し待ってほしい」とのお話がありました。その後2か月近く待ってからめでたく採用となり、その年に「精神保健福祉士」の国家試験に合格しました。
これまでの仕事とはやや異なる分野の仕事になりましたが、今では近隣の福祉職のみなさまとも交流があり充実した毎日を過ごしているようです。
私、あわみなこのほうは「会社勤めはまっぴらごめん」と思っていました。けれどもこちらにきましたら、「手に職なし」の40代半ばの女を採用しそうな会社は皆無で、その心配は無用でした(笑)。
そこで、「パソコン教えます。事務仕事のお手伝いします」のチラシを作成。手渡したり、新聞に折り込んで配ったりすると、少しずつ仕事の依頼がくるではありませんか! とはいえ、生活を支えるにはまだまだ不十分です。ちょうどそのころ、南房総市がクラウドソーシング(*1)の講座を開催するというので参加してみました。これがきっかけで、まずクラウドソーシングで収入が得られるようになり、また講座を通してできたネットワークで地元での仕事が入ってくるようになりました。今ではクラウドソーシングの仕事でディレクター、地元ではライター業や事務代行その他、掛け持ちしてます。いずれも東京ではまず回ってこなかったはずのチャンスが、田舎だからつかめたのだろうと思います。
(こちらで生活費を稼ぐにあたってのアドバイス ※中年向け)
・正社員・正職員での就職は困難ですがチャンスはあります。なぜなら採用するほうも求人難だからです。
移住前に就職が決まるのがベストですが、実際には難しいかもしれません。介護職なら比較的容易に採用されるようです。
・夫婦での移住なら、1人が定収入が得られる仕事につき、もう片方がクラウドソーシングや個人でとれる仕事を掛け持ちして稼ぐのも悪くないと思います。パートやバイトなど「時間で縛られる仕事」は掛け持ちすると大変なので、自分である程度時間の裁量ができる仕事を複数持つのがオススメ。
・「がっつり雇ってもらう」チャンスは少ないですが、季節労働や、パート、バイトならそれなりにあります。私も「誰かいない?」と聞かれることがしばしば。全体的にみれば人手不足であると感じます。特別なスキルがなくても、きちんとした社会人として通用する人であれば重宝されるはず。
・クラウドソーシングの仕事も人手不足なので、やる気がある方、個人的にフォローします。
クラウドソーシング(*1)・・・インターネット上で仕事を発注・受注する仕組み。クラウドソーシング会社が提供するシステムを使用して行います。
(移住直後のお金、ココに気をつけましょう)
いったん無職になってしまう場合は、住民税と社会保険料(国民年金・国民健康保険)にご注意を。
いずれも「いつ、いくら払うのか」ということは自分で調べられます。私も夫も東京ではフルタイムで働いていましたのでかなりの金額になりました。懐具合がよくなくても、払っておかないと後々まで引きずって気持ちの負担が大きくなります。どうしても、ということであれば分割で払うことができますから関係各所にご相談を。
また、町会費が都会と比べて割高かもしれません。消防団の維持のために払う費用、諸々の寄付金など合わせて年間1万円前後になることが多いので、備えておきましょう。地区によっては祭礼の寄付金も必要です。
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