南房総の自然を活かした保育スタイル「森のようちえんはっぴー」【森のようちえんにのせた想い】

南房総市の大房(たいぶさ)岬自然公園を中心に活動する野外保育「森のようちえんはっぴー」をご紹介する連載3回目は、運営団体である「一般社団法人 森のようちえんはっぴー」代表の沼倉幸子さんにお話を伺いました。

2011年から歩み始めた、南房総の「森のようちえん」

私自身は、40代半ばで主人と一緒に東京から11年前に移住してきました。
移住の理由は東京ではできない、自然の中に身をおいた暮らしをしたかったからです。移住当初は、自宅の庭に草が生えていることにも感動してしまいましたね(笑)。
食や自然環境など、東京では見えなかった価値観がどんどん発見でき、生活がとても豊かになったと思います。
東京で森のようちえん立ち上げにかかわった経緯もあり、森のようちえんについては学び続けていました。
保育の事例を知っていくほど、南房総の自然を生かして活動できるとの思いが強くなり、実際に活動を始めたのが2011年です。立ち上げ当初はスタッフは3名で、現在は2歳児クラスも合わせて、7名で運営しています。

森の中で育つ子供の心

予測ができない自然の中で子供が幼児期を過ごせることが、森のようちえんの最大のメリットです。
自然の中は予測ができません。例えば、虫を事前に捕まえておいて見せることは簡単ですが、実際に自然の中で発見する喜びやそれにともなう好奇心にはつながりません。 用意されたものではない不思議は、子供にはとても刺激的で、行動意欲をかきたて、知識欲・探求心がぐんぐん育ちます。
そうすると、自分で考えて自分で行動できる大人になれると考えています。

2歳から6歳までの幼児期は本当に特別

心身の成長が急激な幼児期は、赤ちゃんだったころに比べ、自分の体が自由に動くようになってきますよね。物の認識も強まりますが、見たことのないものがまだまだたくさんあり、そこへの興味があふれるほどあるのが幼児期です。


そんな興味いっぱいで共感できる心が育っている途中に、自然の美しさや自然の音など、感動が強いものと出会い、五感で感じると、脳が非常に興奮して育っていきます。

そういった豊かな体験を重ねることで、心の引き出しを増やして自然からのたからものを入れておくと、これからの人生にきっとプラスになるんですね。
大人になるまでも、大人になってからも、大変なことや悲しいことはたくさんあるじゃないですか。そんな時、心の引き出しからたからものを取り出すことができれば、ホッと一息つけると思います。

なんでもネットで手に入れたり、見たりすることが可能な時代ですが、バーチャルではなくリアルを過ごすことが幼児期は大切だと、私は考えます。

子どもたち、お母さんたちのつながりを築く

森のようちえんはっぴーは、送迎は保護者の皆さんにお願いしています。また、月に一回ほど保護者の方に保育中に当番(はっぴーさん)として入ってもらうことになっています。
大人も自然の中ではリラックスできるので、お母さんも子どもと一緒に自然を感じて楽しむことが、子育て中のストレス軽減にも大切だと考えています。また、楽しく仲間たちと遊ぶ自分の子どもの様子を見るのが新鮮でうれしいという声も多く聞きますし、お母さん同士で子どもたちの様子をシェアするのも良い時間になっているようです。
お母さん同士の関係が深まると子どもたちの関係も深まり、絆が生まれます。卒園後も関係が続いている家族も多くいますよ。
リアルなつながりが希薄にも感じられる昨今、この絆は貴重なものではないでしょうか。
移住者の参加者も少なくなく、移住後のネットワークが広がったという声も聞いています。

まとめ

2020年に10周年を迎える「森のようちえんはっぴー」。そのしっかりとした歩みは多くの子どもたちの心と体を育み続けています。
南房総の豊かな自然を生かした野外保育を親子で楽しみたい!と思った方はぜひ、気軽に問い合わせてみてください。

きっと、かけがえのない時間を過ごせるのではないでしょうか。

森のようちえんはっぴー公式HP:http://morihappy.org/

 

 

フジイ ミツコ

山口県出身。 フォトライター。 南房総の海辺に夫婦で移住し10年ほど。 ふたりの子どもに恵まれ、その子どもたちがつなげて広げてくれるご縁を大切に、彩り豊かな南房総ライフを楽しんでいます。 南房総の素晴らしいロケーションを活かしたフォトグラファーとしても活動中。

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