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館山にオープン!地域の素材からはじめる物作り工房

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2024年4月1日、館山市駅近くにあるビル「YANE TATEYAMA」内に、ジビエレザーを扱う工房「atelier lab.伝右衛門製作所(でんえもんせいさくじょ)」がオープンしました。工房で作られる商品や、イノシシとキョンレザーの違いなどを紹介します。

館山駅から徒歩6分。伝右衛門製作所はこんな場所

館山駅東口を出て右手に進み、汽船場海岸通りを渡って直進すると、左手にガラス張りの白い建物が目に入ります。駅から歩いて6分ほどのこの建物がYANE TATEYAMAで、1階にある「北条文庫」の奥にあるのが、伝右衛門製作所です。北条文庫の中を通り抜けることもできますが、YANE TATEYAMAを通り過ぎて左折すると、左手のビルとビルの間に細い道があり、そこから直接伝右衛門製作所へ行くこともできます。

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

ビルとビルの間の道

 

北条文庫同様、入り口がある面はガラス張りになっているので、中の様子が伺えます。中に入ると、里山の自然や動物たちが描かれた壁があったり、革小物が並んでいたり。毛皮や剥製、骨なども置いてありますが、決して不気味さはなく、温かさを感じるほんわかとした空間が広がっています。

 

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

 

そこに、お客さんが現われました。すかさず扉を開けて招き入れるオーナーの大阪谷未久さん。「うちの常連客なんです」と言いながら、ご飯を用意。

 

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

 

常連客の猫さまは、優雅にご飯を食べ、さっそうと去って行き、大阪谷さんは笑顔で見送ります。ジビエの解体から商品開発、革小物職人としても活躍する大阪谷さん。“伝右衛門製作所”という名前が特徴的ですが、どういう意味があるのか聞いてみました。

「購入した古民家があるのですが、空き家だったその家の屋号でした。伝右衛門さんはもういなくなっちゃったけど、屋号があると聞いて、私が使わないとなくなっちゃう屋号だなと思いました。自分自身が“伝右衛門”と名乗るのはちょっと違うかなと思って、工房名として使わせてもらいました」

 

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

 

イノシシとキョンレザーの特徴をいかした物作り

店内にあるキョンレザーのコードクリップを手にしてみると、なんてソフトなんでしょう!!手触りがとてもよく、キョンレザーはこんなにも柔らかいのだと初めて知りました。

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

コードクリップやジビエレザーシール

 

キョンはシカ科の仲間で日本には生息していない動物ですが、千葉県内で飼育されていたものが脱走したと考えられています。その後増え続け、農作物を荒らすため深刻な被害が出ています。南房総の山エリアに住む筆者も、よく見る野生動物としてはイノシシ、サル、アナグマ系の動物とキョンです。捕獲された野生動物の利用まではなかなか手がまわらない現状がありますが、伝右衛門製革所はジビエレザーとして商品化しています。

藍染イノシシレザーを使用した房州うちわ

藍染イノシシレザーを使用した房州うちわ

 

キョンレザーはとてもソフトですが、イノシシレザーの特徴はどうなのでしょうか?

「イノシシレザーの魅力は、水にも傷にも強くて丈夫なこと。キョンは柔らかいので、ふにゃふにゃしてしまいますが、イノシシはしっかり形を保ってくれます」

そんなイノシシとキョンの特徴をいかし、財布の表は手触りのいいキョンレザーを、コインを入れると形が崩れるコインケースは、イノシシレザーを使って財布を作っているそうです。

犬や猫の首輪も、キョンとイノシシで作っています。キョンもイノシシも牛革より軽くて柔らかい上、透湿性が高く蒸れない特徴があるので、ペットにやさしい首輪になります。

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

 

里山から出てくる素材を活用する工房

大阪谷さんにとって、皮はあくまで里山から出てくる素材の一つという位置づけ。骨もジビエから出てくるものなので、地域のアーティストと一緒にアート素材として使ったり、里山から採れたものでリース台を作り、そこに革製の葉っぱをトッピングしたりと、考えながら少しずつ実践しています。

そんな里山の素材を集めた“里山素材ダンス”が、工房内にあります。100年前のドイツ製タンスは、もともと薬ダンスでした。小さな引き出しがたくさんあり、その中には里山や海から出てくる素材である、鳥の羽や松ぼっくり、ビロードの手触り感があるフジのさや、シーグラスなどが入っていて、引き出しを引くたびに何が出てくるのかわくわくします。

物作り工房「atelier lab.伝右衛門製作所」

 

ステキな素材がたくさんありますが、「全然使いきれていない」と大阪谷さんは言います。

「活用しようと思うものがいっぱいあるけど、自分一人じゃ使いきれないので、ぜひみんなで活用してねってしようと思っています」

工房には、作業しやすい大きなテーブルがあります。わくわくする里山の素材もあります。革小物を作る際に出る端切れも、できる限り利用してゴミを減らそうとしているので、アイデア次第で利用できるものと、心地いい空間が広がっています。

工房の裏には小休憩できるスペースも。ハンモックに揺られる大阪谷さん。

工房の裏には小休憩できるスペースも。ハンモックに揺られる大阪谷さん。

 

まとめ

お買い物はもちろん、アイデアを求めて、何かを作りに、工房を訪れてみてはいかがでしょうか。6月から館山市と南房総市連携のふるさと納税に、伝右衛門製作所の房州うちわやブックカバー、お財布、犬の首輪など、イノシシとキョンレザーを使った商品が加わる予定なので、チェックしてみてください。

店名:atelier lab.伝右衛門製作所
営業日時:金・土・日 11:00~18:00
※イベント出店時は閉店するため、Instagram内カレンダーより要確認
所在地:千葉県館山市北条1625-25 YANE TATEYAMA1階奥
Instagram:https://www.instagram.com/awa_gibier.leather/

 

 この記事を書いたのは…

なべたゆかり
なべたゆかり
熊本生まれ、兵庫育ち。
国内・外を放浪したあと、2011年1月南房総に漂着。
築百年余りの古民家を改修しながら、犬、猫、ヤギとの生活を満喫中。
田んぼや畑だけでなく、イベント出店やライター業など、“暮らしから生まれる百の仕事をこなす”立派な百姓を目指して活動中。

◆安房暮らしの日常ブログ
https://awaawalife.com/

◆インスタグラム
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