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夏だ、クジラ到来。クジラに会いに和田町に行こう!〈後編〉

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〈前編〉では、和田町でクジラを【見る・学ぶ・体験する】3つの観点から紹介してきました。クジラへの興味は高まりましたでしょうか?
〈後編〉では、和田町で鯨料理が食べられるオススメのお店を3軒紹介します。
和田漁港前のお食事処2軒と捕鯨会社直営のお土産屋さん1軒と、どのお店も「ここで鯨を食べて(買って)行けば間違いないよ」と地元住民が信頼を寄せる名店です。
※この記事に掲載した食べ物の価格は、すべて2023年6月から8月時点のものです。

本当の魚好きがつくる鯨料理と寿司が旨い!『笑福』


和田漁港を歩いていると、夏の日差しの暑い中、鯨のタレを干している人を見かけました。
めったに見られない光景なので思わず「鯨のタレですね?」と話しかけてしまいました。

「鯨のタレって、最初はこんなに分厚いんだよ~」と気軽に答えてくれたその人が『笑福』の大将、石井正己(いしいまさみ)さん。

長年、寿司屋で修行したという大将は、ときには自ら産地に出向き、ときには自ら魚を釣って食材を調達します。それぞれの土地で出会った人との繋がりを大切にし、全国にいる仲間から魚介類を送ってもらうこともあるのだとか。
大将のお話から「自分で魚を釣って、捌いて、料理して、もてなす」ことが好きな人なのが伝わってきます。

2023年にTV『出川哲郎の充電させてもらえませんか?』で、出川哲郎さんもお店に立ち寄られ、最近では海外のドキュメンタリー番組でも取り上げられているという人気のお店です。


玄関を入ると手前にボックス席があり、その奥に進むとカウンター席と小上がり席があります。小上がり席の壁には豪快な鯨の絵(画家 井上文太さん作)が描かれており、『いつも目くじら立てず笑福』と大きな鯨が笑っていました。

さっそくメニューを確認すると…
ここ『笑福』では、ランチ時でもコース料理を注文できるのがうれしい!
コースには夢見頃・食頃・見頃と3種類あり、私が注文したのは『笑福』一押しメニューの「鯨の南蛮漬け」がつく『見頃コース』2,000円。

コース内容は、鯨南蛮漬け2枚・おまかせ6点盛り・刺身定食か寿司5貫・サラダ・お味噌汁がついて盛りだくさん。
今回のおまかせ6点盛り(日替わり)は、乙浜(おとはま)港で今朝獲れた伊勢海老とサザエ・スルメイカの沖漬け・マンボウの肝和え・伏姫和牛入りポテトサラダ・ドンコの唐揚げ。どれも珍しい魚を使った手の込んだ品ばかりです。

「クジラ南蛮漬け」は、注文を受けてから女将さんが揚げているので、ホッカホッカでフワッと柔らか。それでいて、冷めてもおいしいからテイクアウトする人も多いのだそう。

見頃コース。右下端が「鯨の南蛮漬け」

おいしそ~な鯨のタレを干しているところを拝見してしまったので、どうしても食べたくなり、さらに一品頼んでしまいました。
「鯨のタレ」750円は、臭みがなく柔らかく噛むほどに鯨の旨味が出て、お酒の肴にもってこいのうまさ!
鯨のタレは鯨肉が獲れる時期に、1年分まとめて作ります。鯨肉を自家製秘伝のタレに5日間ぐらい漬け込んでから天日に半日干して完成。手間暇がかかります。

鯨のタレ

全品揃うとこの値段でここまで食べられる⁉︎というほどの質と量で、満足満腹のコース内容でした。お昼時は、コース以外にも定食・丼物・寿司もいただけます。

 遠方の方にも朗報!
年末には豪華海鮮おせち料理16,000円(送料別)を予約でき、地方発送可能だそうです。

小鉢まで房州産づくし、地魚と鯨料理がうまい『魚』

お店の名前は、『魚(さかな)』と潔いほどに、いたってシンプル。
和田漁港前にあります。
国道128号線の「和田漁港入り口」交差点には、青地に黄色い『魚』と入ったこのお店の看板があります。看板の方向、和田漁港方面へ800mほど進むと、左手にお店があります。青い看板を見落とさないようにご注意を。


たたずまいは漁師町の食堂風。店内に入ると右側にカウンター、左側に座敷があり、和の雰囲気で落ち着きます。海を眺めながら食べられる席が、一番人気です。
『魚』では、和田漁港で揚がったクジラ料理のほかに新鮮な地魚が食べられますよ。

3種類の鯨肉の味の違いを楽しみたい私が頼んだのは『くじら三点盛刺身定食』 2,400円。
定食には、ツチクジラ・ミンククジラ・本皮の3種類のお刺身に、ご飯・お味噌汁・小鉢・お漬物がつきます。3種類の刺身とも鯨独特の臭みがなく、女将さんから教わったニンニク生姜醤油でいただくと、さらに箸が進む、進む!
特に本皮刺身は口に入れたとたん、ふわっとトロけていくおいしさ。人生で初めて味わう食感でした。

くじら三点盛刺身定食

【写真:右より ツチクジラ・ミンククジラ・本皮】

今回の小鉢は、ひじき煮。天津小湊で採れた房州ひじきと破竹(はちく)が入っており、小鉢でも房州の食材を味わうことができます。小鉢と言わず、丼物でもう少し食べたかった~。
「小鉢でも季節の地ものを食べてもらいたい」という、お店の方の気配りがうれしい一品です。
刺身定食だからボリュームはそれほどでも…という予想を裏切って、お腹いっぱいの定食でした。

さらに鯨料理をいろいろ食べたい人には『くじらセット定食』2,900円(ミンククジラ刺身・本皮・ベーコン・鯨カツ)もあります。こちらは満腹間違いなし!
お店で大人気なのが『地魚付きの鯨カツ定食』1,900円と『地魚付きくじら南蛮揚げ定食』1,900円。クジラの生肉はちょっと苦手という方には、こちらがオススメです。


最近では、全国からSNSを見た多くのバイクツーリストが「鯨肉が食べたい」とお店に来るそうです。

鯨肉の土産を買うならココ!!『つ印くじら家』


『つ印くじら家』は、〈前編〉で紹介した外房捕鯨株式会社の直営店。
鯨の解体から加工・販売まで一貫して行っており、お店のモットーは「海から食卓までくじらを届ける」。自信をもって商品を提供しています。その成果が認められ、独自の熟成方法で柔らかく味のある肉に仕上げた「房州沖のつち鯨」が、平成20年に「千葉ブランド水産物」に認定されました。
お店では、鯨のタレや鯨の缶詰などのクジラの加工食品はもとより、鯨の希少部位などが買えるのが魅力。うれしいことにお店が運営するオンラインショップでも購入できます。

すべての商品を紹介しきれないので、私のオススメを紹介します!
※鯨が獲れない時期は、商品が揃わない場合もあるのでご了承ください。

【店内の様子 元気もりもりのバレニンちゃんがお出迎え】

※バレニンちゃんは、捕鯨の伝統と食文化を守るため南極海からやってきたゆるキャラ。『バレニン』とは、鯨が海を何千キロも移動するパワーの源とされている鯨特有のアミノ酸物質。疲労回復効果にも期待されているそうですよ。

・くじらのタレ
 1袋 100g  680円

これぞ房州特産の品。クジラ肉を秘伝のタレに漬け込んで天日で干したもの。
少し火で炙ったあと、細くちぎって醤油やマヨネーズ、一味とうがらしなどをつけて食べる、酒のつまみにもってこいの逸品です。
肉厚ソフトタイプ(醤油味・冷凍)と手軽にすぐ食べれるジャーキー風(常温)と2種類あるので、お好みでどうぞ。

ちょこっと豆知識:何でタレなの?
冷蔵庫がまだない時代、生肉は足が早いことかから干物が主流でした。一説によると、鯨肉をタレに漬け込んで干す時、タレがタラタラ垂れることから名前がついたとか…


・くじらの大和煮

 1缶 190g  540円

ツチクジラの腹肉部分を醤油・生姜・砂糖で甘く煮たもの。汁までご飯のお供になるうれしい逸品。地元の小学生が描いた3種類の缶詰ラベルがかわいい。

・ベーコン切り落とし
1パック 100g  1080円

【上:ベーコンの切り落とし 右:畝須ミンクベーコンブロック 左:皮須ミンクベーコンブロック】

ベーコンは、ミンク鯨100%を使い、こだわりの塩蔵製法で作ったものです。鯨の『畝須(うねす)』というよく動いているお腹のジャバラ部分だそうで、おいしいのだとか。
〈くじら家おすすめ ベーコンの食べ方 TOP3!!〉
1:ショウガ醤油につけて 2:からし醤油につけて 3:スライスを生ハムのようにサラダにのせて
実際、買って食べると、鯨の存在感いっぱいの生ハムという感じ。生姜と刻みニンニク醤油につけて食べたら一層おいしかったです。

・つち鯨 味付け肉
150g  669円

すでに味がついている鯨肉なので、袋から出してすぐ調理しやすいのがポイント。
紹介した鯨料理の竜田揚げ、南蛮漬け、鯨カツなどこの鯨肉の赤身を使えば、ご自宅でも簡単に作れそうですよ。

●その他希少部位のランナップ

鯨のさえずり(舌)・珍宝(こうがん)・百尋(ひゃくひろ・小腸)・尾羽(おば・尾っぽ)も買えます。
特に尾羽は、この地域では「オバ」と呼び、お祭りなどのハレの日に、湯通ししたものを酢味噌和えなどにし、おもてなし料理として出される風習がある貴重なものなんですよ。

こんなのもあったよ!!『つ印Tシャツ』

鯨の解体を見てこられた方は、もうご存知。このTシャツは、外房捕鯨株式会社のスタッフが着ているTシャツです。背中にツチクジラの絵と房州弁で『和田浦の夏はてっぱつすてれっぱつ』の文字が…。
店員の方に意味を教えてもらうと…『和田浦の夏はデカイ。それよりデカイ‼︎』というふうな意味合いだそうです。
「ツチクジラを生で見たよ」という記念に、Tシャツはいかがですか?

くじら家は、捕鯨会社の直営店ということもあって『鯨は(一部を除き)捨てるところがないほどに、今でも最大限に有効利用している』ということが実感できるお店でした。
鯨の食べ方など分からないことがあれば、お店の方に聞いてみましょう。優しく教えてくれますよ。


まとめ

鯨の竜田揚げを給食で食べていた世代の私。
この頃は、給食で鯨肉を食べられる学校が少なくなってきてるようです。鯨肉の話題が出ると「鯨肉?懐かしいね〜」と口にされることが多くなりましたね。今や少し懐かしい夏の味。
鯨肉を食べられる機会も地域もなくなってきている気がします。
ですが、南房総市の学給食校では鯨の竜田揚げなどが提供されているようです。地元の学生の間では、人気メニューだとか!
捕鯨文化が今も残っている漁師町和田町に、ちょっと懐かしい鯨肉を食べにきてみてください。



〈紹介したお店〉

◾️魚
千葉県南房総市和田町和田550-13
TEL:0470-47-2724
定休日:月曜日
11時~14時/17時~20時
駐車場:店舗前の和田漁港に駐車可

■つ印くじら家
千葉県南房総市和田町花園127-3
HP:https://www.tsu-kujiraya.com/about/
定休日:木曜日
営業時間:8:45~17:00
TEL:0470-47-4780

■笑福
南房総市和田町和田598-7
TEL:0470-47-5229
営業時間:11時~14時/17時~22時
定休日:水・木曜日
駐車場:和田漁港に駐車可


〈和田町で鯨肉が食べられるその他のお店〉

●わだい処和田浜  https://mina-pre.chiba.jp/turn-minamiboso/archives/1582
●わだぱん     https://mina-pre.chiba.jp/archives/6026

 この記事を書いたのは…

shouji naomi
香川県出身。
只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。
プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。
ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。

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