私たち家族はこうして台風災害を乗り越えた 2019年秋
2019年秋、千葉県は三度の台風や水害被害にあいました。私たち家族が住む南房総市も大きな被害にあった町の一つです。
台風15号が通過した後、家の裏の立派なケヤキなどの大木4本が家とは反対側に倒れ、私たち家族は今ここにいることができています。
その他大きな被害にはあっていませんし、今回の台風災害の代名詞である『ブルーシート』も使うことはありませんでした。
そんな不幸中の幸いを過ごした一家族の災害体験のお話です。
〈災害は、自分たちの身にも起こるかもしれないという心構えが大切〉
2018年夏に親友が住む広島で豪雨*が続き大きな水害被害にあい、その年の秋にはお世話になった方々が住む北海道に地震*が起きて停電と続き、これは自分たちも災害に備えないといけない、他人事とは思えず自宅の三か所に災害用品を備えました。
その翌年の2019年秋に千葉県は台風15号によって大きな被害にあい、その後台風19号が再来し、三度目の台風21号では大雨で帰宅できないという水害被害にあいました。三度目は本当に不意をつかれた感じで、心身ともに疲れたことを思い出します。
地球温暖化が年々自分たちの身にも迫っている状況の中、『次は自分の番かもしれない』という心構えが何より大切だとひしひし感じました。
※広島で豪雨…2018年7月 西日本豪雨
※北海道地震…2018年9月6日 北海道胆振東部地震
〈救ったのは少しのユーモアと子どもの笑い声〉
2019年10月12日、台風19号が日本上陸目前でまた電気が止まりました。二度目はまたかと、少しげんなりしたことを覚えていています。
一度目の台風15号(2019年9月8日)の時とは違い、家族のみんなは少し落ち着いていた感じがしました。
台風15号よりも規模が大きいといわれていた台風19号が通過すると、いったいどんなことが起こるのか?朝になれば分かるのか?それとも夜中に避難することになるか?と一抹の不安を持ちながら、ろうそくを一本立てた食卓に家族みんなが集まりました。
巨大台風が間近に迫りくる中、主人がおせんべいを食卓に持ってきて、ろうそくの火でせんべいを焼いて食べようとするではありませんか!
主人が「せんべい焼いたらうまいんだよ~」の一言で、子ども三人も同じように焼いて、「うまい‼」と絶賛。みんな台風そっちのけで、ひととき焼きせんべいを楽しみました。
また灯りがないことをいいことに、真っ暗の中子どもたちは懐中電灯で障子を照らし裸踊りなどして、笑わせてくれました。
不安でいっぱいの私の心を救ったのは、少しのユーモアと子どもたちの笑い声でした。
〈『どんな状況下でも生きる力を身につける!』が人生の目標に〉
二度目の台風災害の直後、私はスマホのネットで災害用品の検索ばかりしていました。
テレビからの情報がない分、スマホのネット情報に依存して心を落ち着かせていたのかもしれません。足りない物はないか?と何度も災害用品リストを確認していました。
でもある程度時間がたつと、災害に備える物品の準備も大事だけど、それよりも本当に大事なことはなんだろうか?と自分に問うていました。
ヒントは、仲良くさせてもらっていた農家さんにありました。彼ら農家さんは、自分たちで食べ物をつくることができるし、壊れたモノも自分たちの力で再生することができます。なによりなんでも自らモノを作り生み出します。
彼らには『生きる力』が農業をとおして備わっているのです。そして、何度災害にあおうとも、その後はいつものように畑に種を蒔くのです。畑に種を蒔く農家さんの姿を見た時、なんて力強いのだろうと感動しました。
今の私には、何も生み出す能力はありません。 災害を経験したことにより、『どんな状況下でも生きる力を身につけていきたい!』という思いがこれからの人生の目標となりました。
〇まとめ〇
不安と笑いの中、必死に『生きる』を考え、たくさんの気づきがありました。
TURN南房総のライター仲間と災害について改めて話し合った際、『この体験をただの負の体験だけに終わらせず、自分や地域の財産であるといえるように変えていきたいね』との共通の思いがあり、今回の記事の執筆につながりました。
一家族の台風災害体験の記録でしかありませんが、今後誰かの何かの役に立つかもしれないと思い、当時を思い出しながら書きました。誰かが困難に立ちはだかった時に、前向きに生きるヒントになれば幸いです。