海女という生き方②【海女のお仕事をザックリ紹介!】

海女という生き方を追う第二弾は、白浜海女の仕事をザックリ紹介します。 第一弾の【現役海女ライターにきいてみた】で取材した海月海女(くらげあま)さんと彼女の先輩海女の小林道子(こばやしみちこ)さんのお二人にお話をうかがいました。
海女が活躍する白浜町は、現在でも約200人の海女と海士(男性の海人:あま・かいし)が漁を行っており、海女が漁を行える期間は、5月1日~9月10日と決まっています。

赤旗が下がっていれば、海が開いている知らせ

① 一日の流れ
朝の旗当番が、早朝の海の状態・水温を見てその日潜れるか判断します。 朝から潜りはじめ、約2~3時間くらい潜ります。 海から戻るとすぐ漁協にその日獲れた海産物を売りに行き、海女小屋の囲炉裏で体を暖め、食事をとり休みます。

②海女小屋

6畳ほどの休憩場。中には囲炉裏が一つあり、そこで海で冷え切った体を暖めます。 囲炉裏で焚火をするので、壁面はススで真っ黒になり、薪がところせましと積まれています。 小林さんが「囲炉裏っていうのは、神様(神聖な場所)でね。冷え切った体を暖めてくれ、海女同士の絆を深くしてくれる場所だねぇ」と、海女にとって”囲炉裏は特別な場所”と教えてくれました。

囲炉裏を囲み、体を暖める(左:海月海女さん 右:小林道子さん)

③海女にも種類がある!
白浜海女には、獲る海産物や場所によって呼び名があります。
・船海女(ふなあま)・沖海女(おきあま)・・・船に乗り沖でサザエやアワビ等を獲る海女のこと。夫婦船、船頭つきの船、一人で船を出し潜る海女もいる。
・灘海女(なだあま)・・・岸から自分で沖まで泳いで、サザエ・アワビ・シッタカ・トコブシ等を獲る海女のこと。
・貝海女(けいあま)・・・貝類を獲る海女のこと。※白浜では、貝の事をケイと呼ぶ。
・天草海女(てんぐさあま)・・・テングサなどの海藻類を獲る海女のこと。
・陸這海女(おかばいあま)・・・主にシッタカ・シリタカ・トコブシ等を獲る海女のこと。陸(オカ)を這うようにして獲っているように見えることから、この名前がつく。
・大海女(おおあま)・・・たくさんアワビやサザエを獲ることのできる海女のこと。尊敬の念をこめて、他の海女たちはこう呼ぶ。

さらに白浜町には大勢の海女たちをまとめるリーダーの海士頭(あまがしら)がいて、そのリーダーがいることで地域(部落)の海女たちは結束できているそうです。

④何度も垂直に潜る
2~3時間の内に、海女は何度も何度も潜ります。 特徴的なのは、獲物から一番近いように垂直に潜ること。下の写真のように、シンクロナイズドスイミングかのごとく真っ逆さまに潜り、足先がまっすぐに伸びています。 私よりも年上の海女さんが、目の前で何度も何度も潜る光景には圧倒されました!

⑤海女には定年がない
白浜の海女では、85歳を筆頭に80代70代その後40代・30代の海女と続き、新人の海女が入ってくると、海女内でうわさが広まるそうです。 御年85歳の最年長の海女さんが、陸(オカ)で歩くのは大変そうに見えても、海の中では人魚のように潜っているというから驚きです。

◯まとめ◯
実は、取材日の朝に緊急地震速報が流れました。幸い大きな揺れは無かったのですが、海に潜る海女さんにとっては驚く出来事。しかし、気持ちを切り替え小雨も降る中、談笑も交えながら2時間も潜り続ける海女さんの姿には脱帽でした。 泳げず陸で待つだけの私は、「海女さんって逆境をもろともせず、その逆境さえ楽しんですごいなぁ!漁をするって、きっと楽しいんだろうな~」と感心することばかりでした。

海女という生き方は、本当に厳しい。でも、体を張って大海原という自然を相手に漁をする様は、カッコイイ。 海女というカッコイイ仕事を世の中の人に、知ってほしいと強く思いました。

 

 

shouji naomi

香川県出身。 只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。 プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。 ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。

おすすめ