海女という生き方③【拝見!海女のハンドバッグ】

海女という生き方を追う第3弾は、白浜の海女さんの特徴的な服装と仕事道具を紹介します!
第一弾の【現役海女ライターにきいてみた】で取材した海月海女(くらげあま)さんとベテラン海女の小林道子(こばやしみちこ)さん、お二人にお話をうかがいました。

〈普段とお祭りでは違う海女の服装〉
昔は白装束で潜っていたそうですが、今は上下分かれたウエットスーツにオレンジ色の上着を着て潜っています。白浜町では海での安全面を考慮して、海女も海士(男性の海人:あま・かいし)も上着は明るいオレンジ色のユニホームなのだそうです。 さらに大昔は、海女もふんどし一丁で潜っていた時代があったというからビックリですよね。
毎年7月に行われる海女祭りでは、現役海女と参加型ボランティア海女達が伝統的な白装束を着て、祭りを盛り上げることもあります。

お祭りの白装束(最前列真ん中:海月海女さん)

普段のユニフォーム(小林道子さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈八つの海女道具〉
小林さんは、海女道具一式が入った背負いかごを『海女のハンドバッグ』と愛着をもって呼びます。
その中身の海女道具を紹介。 背負いかごから時計回りに道具を紹介すると…
※白浜海女が使う道具の呼び名であって、地域や部落によっては異なることがあります。

海女の仕事道具

・背負いかご・・・海女道具一式を入れるかご。海女道具の総重量は約15㎏と重い。
・曲げ樽(まげだる)・・・浮具として使う。今でいう浮き輪の役割。曲げ樽にいかり石と磯かねとたまりの3つをくっつけ、持ち運ぶ時など漁をスムーズに行うための知恵と工夫がある。
・網(たまり)・・・獲物を入れる網目状の袋。
・磯めがね・・・海の中の獲物がよく見える水中眼鏡。海中で見えやすいようにくもり止めとして、ナガモクなどの海藻類や灰やヨモギなどを使う。
・いかり石・・・船の錨(いかり)と同じ役割で、自分が留まりたい場所に石を放って重りにする。約10mのロープの先に重りがつく。
・数種類の磯かね・・・岩から貝を剥がす時に使う。場所や獲るものによって磯かねを使い分ける。
【写真下:かっかい】先がカギ状で長めの磯かね。かっかいとちょうえの両方を使い、岩棚の奥にいるアワビをひっかけたりサザエをかき出したりする。普段は曲げ樽に吊るしておき、必要な時に取りに行く。
【写真真ん中:ちょうえ】持ち運びは、腰に巻いたベルトの背中に刺して潜る。貝が難しい場所にいてすぐに獲れない時、海の中へ置いてきて目印としても使う。
【写真上:このみ】その場ですぐ剥がせるよう、常に手に持つ短めの磯かね。
・重りつきのベルト・・・浮力で体が浮かないよう重りをつけたベルト。各々の体重によって重りの重さが違う。
・ヘラ・・・ひとかきで遠くまで泳げる足ひれ。

◯まとめ◯
海女道具は、それを作れる職人さんがもういないため、壊れたら二度と手に入らないものばかりということもあり、先輩から後輩海女へと受け継がれてゆきます。
海月海女さんの「海女にとって、どれひとつ欠けてもならない道具」という言葉が、とても印象に残りました。 とても貴重な海女のハンドバック。普通では目にできないその中身をご紹介しました!

次回は…ベテラン小林道子さんの言葉を書きとめた【後世に残したい海女の言葉】です。

 

shouji naomi

香川県出身。 只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。 プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。 ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。

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