田舎ならではのお仕事。三芳蛍まい研究会ライスセンターって何?
三芳村蛍まい研究会は、農業の自立と環境を守るために既存の農家でも比較的転換しやすい低農薬栽培での米作りを呼びかけ、消費者との直販をスタートさせるために1991年に発足。無農薬や低農薬の米を栽培し、販売をスタートさせました。美しい田園風景が広がる三芳村の、蛍の灯がいつまでも消えることがないようにとの願いを込めて「蛍まい」の名前が付けられています。2006年には自前のライスセンターを稼働させ、会員以外の籾(もみ)も受け入れています。
稲刈りから店頭に並ぶまで。ライスセンターの役割
店頭に並んでいるお米が、田んぼで育てられていることは多くの方が知っていると思いますが、稲刈りのあとどのような工程を経て店頭に並んでいるのか、ご存じでしょうか。
各農家さんは専用の機械を使って稲刈り・脱穀を行い、籾殻が付いた状態の米をライスセンターに持ち込みます。ライスセンターではまず乾燥作業を行い、乾燥してから籾すり、玄米の状態にして30キロずつ袋に詰めます。
蛍まい研究会のライスセンターで管理しているお米は低温貯蔵庫で管理しながら、南房総市内の学校給食に使ったり、道の駅鄙の里(ひなのさと)の直売所や生活協同組合で販売したり、清酒「むらの酒」にして販売したりしています。
年に一度、稲刈りの時期に集まるライスセンターファミリー
南房総では、主に8~9月に稲刈りが行われます。この時期になると、ライスセンターに集まるメンバーたち。蛍まいの生産者や、農家に勤めている人、便利屋や暖炉屋を自営している人など、ユニークな面々が勢ぞろい。いつものメンバーが集まれたことを喜び、新しいメンバーを歓迎し、お互いの近況を話しながらライスセンターは笑顔につつまれます。その様子は、お盆やお正月に久しぶりに集まった家族のよう。
7台ある遠赤外線乾燥機を管理し、水分を14.5~15.5%に乾燥させた籾殻は、隣にある籾すり機へと移されます。籾すりが完了すると、その隣にある袋詰め作業場へと玄米が流れてきます。農家さんの名前を入れた専用の米袋に玄米を詰め、口を結んでから農家さんごとにまとめてパレットへと積み上げていきます。
乾燥機担当、籾すり機担当、袋詰め担当、とそれぞれ持ち場が決まっていて、毎年やっている人がほとんどなので、作業も慣れたもの。この仕事のいいところは、お昼に炊きたての新米が提供されることです。おかずのみが詰まったお弁当箱を持って来る人や、納豆だけを持ってくる人などさまざまですが、炊きたての新米ご飯があればどちらもご馳走に大変身。メンバーには平飼いの養鶏を行っている人もいるので、時には卵かけご飯も食べられちゃいます。
蛍の灯が消えないように、受け継いでいきたい
田植え前から刈り取りあとまで、年間7~8回もの殺菌剤・殺虫剤・除草剤・化学肥料などの使用が当たり前とされていた時代。「無農薬でなんて、米は作れない」と言われていたそうです。
農薬や化学肥料が与える人体への害、次世代や生態系への影響を考慮し、安心でおいしいお米を生産していきたいと立ち上がった三芳村蛍まい研究会。
立ち上げ当初、サンプルも持たずに都内へ米を売りに行ったときのことを、懐かしそうに話してくれました。8月の暑い中、無農薬や除草剤1回の散布のみの米だと説明しても「そんなんじゃ米は作れないよ」とか「無農薬の米なんてあるわけがない」と言われたそうです。今でこそ、無農薬栽培や有機栽培のものを目にする機会が増えましたが、その陰には努力してきた人たちがいたからこそなのですね。あらためて、安心して食べられるおいしいお米に感謝したくなりました。
【Information】
住所:〒294-0815 千葉県南房総市千代24
電話: 0470-36-4478
蛍まい研究会:http://hotarumai.net/