南房総里山暮らし~ホタル舞う初夏を知らせるウメとクワの実~前編
南房総は海と山が近く、山エリアに住んでいても数分車を走らせれば海に出るという立地もあります。山エリアに住むわが家の場合は海まで車で20分ほどの距離なので、どっぷり里山暮らしを堪能中。
山や田畑に囲まれた環境の中で、都会暮らしでは気付かなかった初夏の訪れを知らせてくれる風景を紹介します。
田んぼの景色で初夏を感じる
南房総の田植えは全国的にみても早く、場所によっては4月中ごろから田植えをしています。小さな苗が植わっている田んぼもあれば、田んぼを耕し、水をため、せっせと田植えの準備をしている田んぼもあります。
水をたたえた田んぼの表情は豊かで、空の様子を映し出してくれたり、光を反射したり、オタマジャクシたちが泳いでいたり、カエルが大合唱を聞かせてくれたり、日々様子が異なります。
多くの田んぼに水が張られ、すくすく成長する稲の様子を目にすると、「あぁ、この季節がやってきたなぁ」と毎年思うのです。
クワの実が色づく季節
散歩をしていると、緑の葉っぱの下でまっ赤に色づいたクワの実が目につきはじめます。赤から黒へと色を変え、熟していくクワの実。熟したものを収穫しながら口へと運びます。
クワの実ジャムを作る人もいますが、面倒くさがりな私は散歩のたびに収穫したてのクワの実をそのまま口へと運んで味わっています。
カジカガエルが鳴き、ホタルが飛び交う里山
川沿いを歩けば、鳥のような美しい鳴き声が耳に入ります。これは、カジカガエルの声。鹿のような鳴き声なので、河鹿蛙(カジカガエル)と名付けられたそうですが、私には鹿よりも鳥の声に聞こえます(笑)。
田んぼや水場に突き出した木の枝には、メレンゲボールのようなモリアオガエルの卵が出現します。田んぼのなかに浮いている泡の塊はシュレーゲルアオガエルの卵。カエルたちは、水が豊富な里山がお気に入りのようです。
初夏の水辺に集まるのはカエルだけではありません。南房総の里山では、ホタルが飛び交う様子を見ることができます。
田んぼや川に囲まれたわが家の庭には、毎年5~7月にホタルが見られます。懐中電灯を片手に庭に出て、懐中電灯を点滅させるとそれに合わせてホタルたちが点滅しはじめます。点滅しながらふわふわとゆったり飛び交う姿は幻想的。
庭まで出なくても、夕方家の前を飛ぶホタルを目にすることもありますし、初夏以外の季節でも飛ばずに発光している虫(ホタルの種類なのかは謎)を見かけることもあります。知っている場所なら、季節を問わず真っ暗ななかを歩いてみると、発光している虫や何かを発見することができるかも? 知らない場所は危険なのでちゃんと懐中電灯で足元を照らしてくださいね。暗い場所に目が慣れると、星空はもちろん、いつもと違った景色を楽しむことができます。
「南房総里山暮らし~ホタル舞う初夏を知らせるウメとクワの実~後編」では、ウメの収穫やウメ仕事、移り行く庭の景色についてご紹介します。