南房総里山暮らし~収穫の秋。里山の秋しごととは?~
関東一の早場米の産地である千葉県では、秋を待たずして8月から稲刈りが始まります。夏真っ盛りの季節ですが、稲刈りが始まると「もうそんな時期か」と秋の気配を感じずにはいられません。南房総の里山に暮らす筆者が、柿渋作りや採蜜などの秋仕事と秋の景色をお伝えします。
里山を彩る秋の花
秋のお彼岸が近くなると、土手や道端の彼岸花たちがぐんぐん伸びてきて、花を咲かせます。
彼岸花といえば赤色の印象が強いですが、車を運転していると道路脇に白や黄色の彼岸花が咲き乱れているのを目にします。南房総のあちらこちらに“彼岸花ロード”が現れ、ところどころにコスモス畑も出現しているので、秋のドライブを楽しめます。
背丈の高いキクイモや、セイタカアワダチソウが黄色い花を咲かせはじめるのもこの季節。セイタカアワダチソウは、場所によってはただの雑草で邪魔者扱いされますが、花が咲く前のものを摘み取ってお風呂に入れたり、染色やお茶にも使えたりします。
里山の秋しごと
田舎の家でよく見かける果樹の一つは、柿。わが家にも柿の木がありますが、残念ながら渋柿なので柿渋にします。
青いうちに収穫して、袋に入れてから棒でたたき割ります。樽に入れて水を加え、数日置いてから濾した液体を瓶に移して3年ほど寝かせて発酵させます。柿渋は防虫・防水効果があるので家の木材に塗ったり、染料として使ったりできます。
里山で見かけるこの時期の仕事の一つに、採蜜があります。家の庭に蜂箱を置いている人たちが、蜂箱を開けて蜜を取り出すのです。
この日のために、スズメバチからミツバチを守ってお世話をしてきて、あま~い蜜をたっぷり採取できたときは喜びで満ちあふれます。蜜と蜜ろうを分けて、蜜ろうキャンドルや蜜ろうラップも作れて重宝します。
やっぱり稲刈りは秋でしょ!
南房総では4月中頃から田植えが始まりますが、わが家は6月に田植えをするので稲刈りは9月か10月になります。
よく見かけるのは、機械で刈り取っている様子。この場合、刈り取った籾(もみ)付きの米をライスセンターに持ち込んで、乾燥機で乾燥させます。
わが家は鎌を手に、のんびり手で刈り取って、稲わらで結んでハサガケにしています。少なくなったとは言われていますが、まだまだハサガケをしている農家も残っているので、ハサガケがずらっと並ぶ田んぼの景色もこの時期ならでは。ずっと残っていてほしい景色の一つです。
実りの秋、収穫の秋
この時期はサツマイモの収穫や、田んぼに植わっているマコモダケの収穫、庭のサトイモやキクイモも収穫できて、保存もできるので食べ物が豊富になります。わが家は手入れなんてせずに放置していたようなものですが、ちゃんと実らせているのが植物のすごいところだと毎回感心しながら収穫。採れたてほやほやの季節のものを味わえるのは、田舎暮らしのいいところですね。
夏にたくさんの花を咲かせて楽しませてくれたハスも、夏の終わりごろから収穫が始まります。泥の中から掘られたハスはまっ白で、見た目も美しくサクサクした食感。この辺で採れるハスは生でもおいしく食べられます。
採れたての秋の味覚は道の駅や直売所で販売されているので、南房総にお越しの際はぜひ手に入れてご自宅で味わってみてください。