南房総里山暮らし~冬は味噌・醤油・木炭作りに励む~
南房総の里山で暮らしていると、いつも季節に追われ「早くあの準備しなきゃ!」となることが多いです。冬はどんな仕事に追われるのか、里山に暮らす私の暮らしの一部をこちらで紹介します。
仲間と一緒に味噌仕込み
大量に味噌を仕込みすぎて、最近は毎年作ってはいないのですが、冬は味噌仕込みの時期です。基本、糀(こうじ)は自分で育てて収穫した米を使って仕込んでいます。
糀を仕込める発酵機がある市の施設を借りて、味噌を仕込む3日前から糀の仕込みを行います。糀がうまく仕上がっているか、ドキドキしながら発酵機から取りだし、毎回甘い糀をつまみ食いして混ぜながら、「手がすべすべになるね~」とこちらもお決まりの台詞を口にします。毎回声に出してしまうくらい、糀を触ると手がすべすべになるのです。
ゆでたての大豆を、これまた「甘くておいしい~」と味見して、仲間と一緒に大豆と塩と糀を混ぜ合わせて味噌団子を作り、樽へと詰めていきます。 おいしい味噌に仕上がりますように。
仕込んだ醤油を搾り、新たに醤油を仕込む
南房総には、醤油を手づくりする人たちがいます。搾り師がいて、仕込んでいる樽の元へと搾り専用のフネと道具を持って搾りに行きます。搾りたての生醤油をいただくのが、毎年の楽しみ。その日は同じ樽を共有している仲間と、醤油に合う料理を持ち寄って作業をし、搾りたての醤油でランチを楽しみます。
醤油の現場でもまた、「今年の醤油はおいしいね」とお決まりの台詞が飛び出します。味噌も醤油も糀を使った生き物なので、温度差や手入れの仕方で味が変わってくるのですが、自分たちで作ったものなので毎年おいしく感じます。
無事に醤油搾りを終えると、来年のために新たな醤油を仕込みます。
炭焼きの伝統を引き継ぐ木炭組合で木炭作り
里山では、長らく放置されているような炭焼き小屋や、今でも使われていそうな炭焼き小屋を目にする機会があります。山の手入れをしてできた材を使い、木炭を作って生活に取り入れていたのです。私が参加している木炭組合でも、毎年木炭の完成を楽しみにして購入してくれる地元のお客さんがいます。
メンバーはそれぞれ自分の仕事をしながら、作業時間を作って山から木を切り倒し、運べるサイズにして軽トラで運び、決められた長さにカットして、太いものは薪割り機にかけます。釜いっぱいに詰められる材を集め、ようやく釜に詰めることができ、火入れをして木炭にし、それをカットして選別、軽量して袋詰めを行います。
忙しいなか時間を作るのは大変ですが、昔からある炭小屋を維持し、メンバーと炭火を囲む時間は格別なのです。そして出来上がった木炭は、本当に美しく、いい音が鳴ります。
里山の冬仕事
ほかにも、柚子仕事として柚子コショウを仕込んだり、酵素ジュースにしたり、乾燥させたり。餅つきの準備や年末年始の行事も絡んできて大忙しです。
“里山暮らし”というとのんびりしたイメージがあるかもしれませんが、収穫時期や天気のタイミングなど、作物や自然は待ってくれないのでそれらに合わせる時間を作るのが大変です。それでも、自然の恵みをたくさんいただける里山の暮らしはやっぱり贅沢で、やめられそうにありません。