海女という生き方【現役海女ライターにきいてみた】

現役で海女業を営むライターネーム海月海女(くらげあま)さん。白浜町に住み30代から海女になって11年。

今や白浜海女の若手ホープである彼女は、南房総ex-press(みなぷれ)のライターとしても活躍中です。 海女の世界がどのようなものなのか、どうしても知りたくなり、同じ時期(2018年)に「みなぷれ」に参加した仲間でもある彼女にインタビューしました。

現役かつ若手である白浜海女からのリアルなお話は興味深く、また海女を志す人たちにとっても貴重なものになると思います。

●海月海女さんが海女になったきっかけは?

海女道具を一式担ぎ、いざ海へ

「海女になる前から海が好きで、子どもと、よく磯で遊んでいました。ある時、親戚の海女のおばさんが、まげ樽(海女が浮具として使う樽)をくれまして言うことには『海好きだったら、こーよ(おいでよ)。1人で潜っていると危ねーから。海女小屋こうさー(いらっしゃいよ)』。これがきっかけ。誘われて海女小屋に行ったら、あれよあれよという間に海女の道に入ることになりました」

まげ樽。樽には、お子さんが描いてくれた絵がいつもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●海女の魅力、大変なこと、大切なことを教えてください。

◯海女の魅力は…

「やっぱり獲物を見つけた時の気持ちですね。 アワビを見つけると『うぉー』と興奮してしまいます。『どうやって獲ろうか! 慎重に! 傷つけないように! 冷静に! GET!』…という感じです(笑)。 海女になりたての頃から比べると段々と深く潜れるようになりました。自分でも毎年上達していることが実感できるので、やりがいのある職だと思っています」

◯大変なことは…

「5月から漁が始まります。その頃は水温が低いので1時間も海に入っていると手足の感覚がなくなるほど寒くなることがあります。海が荒れ、波の揺れで酔ってしまうこともあります。潮の流れが速い時は体力を奪われて辛いことも。せっかく海に出てもあまり獲れない時もあって、ちょっと落ち込むことも(笑)。それでも『もう行きたくない!』と思ったことは一度もありません」

◯大切なこと…

「海女の世界のしきたりを守ること。それが大切です。長年、海女として海を経験している方たちの話を素直に受け止め、よく聞くことだと思います」

この日海月海女さんが獲った貝類

手のひらサイズのアワビ

 

 

 

 

 

 

 

●移住者が海女になるには?

「簡単なノリでは、海女の世界には入れません。 これまでに何度も、『海女になりたい』という人が白浜海女たちの元を訪れました。 けれども本気で白浜に住み、土地に馴染む気持ちがないと、海女の仲間には受け入れてもらえないようです。海女の仕事は海の中。命の危険が伴う仕事です。仲間あっての仕事で、1人でできる仕事ではありません。もちろん海士(男性)も同じです」

…海女の道は、相当の覚悟をもってのぞむ必要がありそうです。

●海女のゆくすえをどう見ていますか?

「海女は減ってきています。個人的には、海女の伝統や文化を受け継いでもらうために、もっとオープンにしてもいいんじゃないかと思います。とはいっても、いろいろと海女のルールもあるし、難しいところですね。でも本気で『海女になりたい!』と思うなら、まず移住して地元の人と交流を深め、土地の一員として認めてもらうことが先ですね。何年かしたら海女という道が開けると思います。ちょっと時間がかかるお話になりますが…。 私はたまたま漁業権がある家に嫁いだから、すんなり海女になれたということもあります。実はいちばん早く海女になる方法は…海士さんのところに嫁ぐことかも!」

娘さんが海女になりたい、と言ってくれている海月海女さん。でも娘さんには『海女は何歳になってもなれるから、今、自分がやってみたいことを精一杯やってみなよ!』と伝えています。 やりたい、と言ってくれる娘さんの気持ちを尊重しつつ、まずは自分で自分の道を探したあと、それでも海女をやりたいという思いがあれば、いつでも待っているよ、というスタンスなのですね。

このインタビューを終えて感じたことは、これから白浜海女を志す人にとっては厳しいですが…ウエルカム状態ではないということです。 ですが、根っからの海好きで『海女をやりたい!』と強い思いがある人だったら、たとえ狭き門でも、たとえ時間がかかっても、海女の道にすすむことはできるのではないかと思います。

●まとめ●

白浜町の隣町に住む私にとって、今回のインタビューは貴重な体験となりました。 よく海で見かける、樽に乗ってオレンジ色のユニフォームを着て浮かんでいる方々。あの方々が海女さんや海士さんだったなんて、初めて知りました。 これからは、海に浮かぶ樽を見つけたら「今日は何人、海女さんが漁をしているのかなぁー」と思いをはせることになるでしょう。

この記事を読まれた方が、海女さんたちの存在に興味を持ち、房総の海を眺めるときに思い出していただけばうれしいです。

あらためて、海のめぐみと海女さんたちに感謝いたします。

◯備考欄

千葉県南房総市白浜町

 今回取材した現役海女ライター海月海女さんの記事を読むと、さらに海女の魅力も深まりますよ~。

『現役海女がおすすめ!「海女まつり」で夏をさきどり体験!』

『現役海女が伝えます!白浜ってこんな町なんです』

shouji naomi

香川県出身。 只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。 プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。 ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。

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