「南房総にも美味しいパン屋はあるのかな?」
都市から移住してきたパン好きの私のそんな疑問と好奇心からはじめた、南房総パン屋めぐり。【1】、【2】につづき、オススメの美味しいパン屋をご紹介します。
今回は、薪(まき)火の石窯で焼いた独特の香ばしさが、一度食べると忘れられないパンを作っている、鴨川市東にある「石窯パン工房そろそろ(以下:そろそろ)」です。
ここはパンが焼き上がったそばから売れてしまうから、あんまり人気になってしまうと、これまで買っていた人が買えなくなってしまいそう。そんな心配から秘密にしておきたいくらい(笑)。けれど、南房総にもこんな美味しいパン屋があることをお伝えしたい気持ちの方が強かったので、掲載しちゃいます!
店主自ら造った石窯においしさの秘密あり
「そろそろ」は、鴨川市街地から嶺岡トンネルを抜けた「曽呂(そろ)十字路」交差点を右折して、県道89号沿いに約7km上っていった場所にあります。途中の道に店舗はほとんどなく、民家があるだけなので、目印となる建物はありません。白い看板がありますので、見逃さないようにしましょう。
看板の左側の小道を入ると「そろそろ駐車場」と書かれた看板が立っていますので、こちらに車を止めます。ここから50mくらい道沿いに歩くとパン工房に到着です。
のれんをくぐって中へ入ると、左に日曜日だけ営業のカフェスペース、右にカウンターがあり、焼き上がったパンが並びます。カウンターの奥には、珍しい形の大きな石窯があり、この石窯こそ「そろそろ」のパン作りの要です。
パンを焼くのに欠かせない窯を探していた時に、既製品にはイメージ通りのものがなく、ならばと外国のサイトを見て店主自ら造ったそうです。「この石窯のおかげだよ」というほど「そろそろ」の美味しさの秘密は、石窯にあります。そんな石窯を見せてくださいと遠方から来る方もいるようです。
また燃料には薪を使用していますが、地域の方から廃材をいただくそう。この窯でパンを焼けるのは、地域の方々のおかげでもあるんですね。
石窯パン工房そろそろの人気パン
石窯で焼く独特の旨みを味わえるよう、シンプルなパンが多い「そろそろ」。パンは「石窯との相性がとてもいい」と店主が言う『ホシノ天然酵母』を使い作られています。
パンは11~12種類を順に焼いては並べていきますが、焼き上がりを待って買いにくるお客さんも多いので、並んだ途端に売り切れてしまうことも。カウンターの幅いっぱいにパンが種類豊富に並ぶことは、めったにありません。そのとき並んでいるパンを買って食べてみることをおすすめします。
「塩パン」150円は、ドーム型のパン生地に塩を振っただけのシンプルなパン。表面には石窯で焼いた香ばしい焼き色がつき、中はしっとりふっくらやわらかな食感、そして塩が全体を引き締める役割を果たします。噛むほどにパン生地の旨みがじんわりと口いっぱいに広がっていく心地よさを味わえるでしょう。
見た目は地味だけれど、「そろそろ」の石窯パンの美味しさを一番感じられる「田舎棒パン」350円。具もトッピングもない、フランスパンみたいな存在だからこそ、パン生地の美味しさと、薪を使った石窯で焼かれた香ばしさが、ダイレクトに味わえるのです。このパンを初めて買って帰るとき、紙袋からもれ出てくる香りに期待が高まりました。さらに買った翌日でもまだまだ香ばしいほど、長い時間風味が楽しめました。
まずはそのまま食べてみて、そのあとトーストして食べ比べしてみましょう。シンプルなパンなので、さまざまな料理との相性もピッタリです!
店主が好きだという「レーズンくるみ」320円。漬け込まれてしっとりとしたレーズンとコリッとした歯ごたえのくるみがたくさん練りこまれたパンです。ふんわりもちもちとした生地に、レーズンの甘みとくるみの香ばしさがなじんでいて、噛むほどに広がる美味しさ。
私のおすすめパンとピザ
「そろそろ」の石窯パンの中から、私のおすすめを3品ご紹介します。
「バジル・チーズ」240円は、しっとりやわらか、モチモチ食感のパン生地にバジルソースとチーズをのせて焼いたパンです。溶けたチーズの芳醇な香りやコクと、バジルの爽やかな香りがパンの旨みと合わさり、一口食べたら止まらない美味しさです。オリーブオイルのすっきりとした香りや旨みも奥行きを与えています。
「ジャーマンポテト」240円は、「そろそろ」では数少ない調理パンの一つです。ホックホクのジャガイモとベーコンとチーズが入った、甘みと塩味のバランスがちょうどよい味付けです。
たまにジャガイモが硬かったり、味付けが薄かったり、コショウが効きすぎなんて店もありますが、「そろそろ」の店主は元コック、さすがの味わいに仕上げています。ふんわりした香ばしいパン生地との相性も抜群です。
「石窯ピザ そろそろ田舎風ミックスピザ」1枚1400円は、日曜日だけ食べられる石窯で焼き上げたピザです。
トッピングする材料には、自家農園で採れた野菜が使われています。トマトソースも、自家農園で採れたトマトから作るそうです。
石窯でこんがりと焼かれたピザ生地は、噛むとモチっとした引きのある食感。トマト、ピーマン、タマネギ、しめじ、サラミなどさまざまな素材がトッピングされ、こんがりと焼き色がついたチーズとのハーモニーが楽しめます。
ボリュームがありながら、このピザはあっさりとしているので、胃にやさしいかんじ。チーズたっぷりのピザはしつこくて苦手という方にもおすすめしたい、素材の味がいかされた逸品です。
まとめ
店主一人でパン作りから菓子作り、販売までするため、一日に作れる数も限られています。順々に焼いていくため、ご紹介したパンに一度に会えないことも多いでしょう。目当てのパンが決まっていれば、前日の夕方までに予約をしておけば、取り置きも可能です。
比較的空いているのは、「平日の雨の日」とのこと。天気が悪い時こそねらい目だそう。
「そろそろ」に何度か足を運ぶと、店主がいろいろな話をしてくれました。1つの記事ではボリュームが出過ぎてしまうため、前後編としました。
今回ご紹介しきれなかった、とっておきの○○○○も・・・後編へ続きます。
(注:価格を含め情報はすべて、2018年10月取材時のものです)
2019年夏より、鴨川『みんなみの里』にて一部のパンを卸し販売しています。(2019年10月追記)
石窯パン工房そろそろ
営業時間:11:30~16:00(売切れ次第終了)
パン/金曜日
ピザ+カフェ/土・日曜日(土・日曜日はパンの販売なし)
定休日:月~木曜日
TEL:090-3699-8531
所在地:千葉県鴨川市東222
公式サイト:http://sorosoro222.strikingly.com/
Facebook:https://www.facebook.com/sorosoro222/
駐車場:店近くに10台分あり
サイクルラック:あり
【南房総パン屋めぐり】
この記事を書いたのは…
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東京都中野区出身。
2016年春に夫のサーフィン好きから出産と同時に、神奈川県川崎市から南房総市に移住。初めての子育てと慣れない田舎暮らしに、1年以上悩みました。
長年してきたスイーツの企画の仕事もしづらくなり、知り合いも少なく孤独を感じることもあったときに、試しに参加してみた南房総市主催「新しい働き方講座」で、WEBライターについて学ぶ。講座で互いに学び合い、支え合う仲間と出会えたことで、ここでの生活が楽しくなってきました。
仲間から教えてもらった南房総の魅力を知る一方で、地域課題について関心が高まりました。南房総に移住してきて、都会との感覚の違いや、情報の少なさ・古さに気づき、自分たちが感じた不便さを少しでも解消できたら、きっと誰かに喜んでもらえる…。そんな思いで、『南房総ex-press』をつくりました。
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