2023年7月15日、16日の2日間にわたって開催された、4年ぶりの『白浜海女まつり』。
開催にあたって、メインイベント『海女の大夜泳』に参加する「海女ボランティア」(以下:海女ボラ)が募集されました。
海女ボラは、現役の海女さんたちとともに白装束をまとい、松明(たいまつ)を持って夜の海を泳ぐという貴重な体験ができ、お祭りの担い手の一員となって楽しめます。
今回、海女ボラとなった女性の動画付きレポートを添えて、お祭りの魅力を紹介します。
『白浜の海女まつり』ってどんな祭りなの?
このお祭りは、なんと昭和39年から59回も続いている伝統的なお祭りで、近年千葉県民が選んだ「未来に残したい」ちば文化資産にも認定されました。千葉県最南端の白浜町(野島埼灯台前の漁港)で、約100人の海女が松明を持って夜の海を泳ぐ幻想的なお祭りです。
海女まつりの起源は?
その昔、野島埼の海で一隻の船が遭難し、多くの船乗りが暗闇の海に投げ出され、当時の海女たちが松明を手に夜を徹して船乗りたちを捜索したという悲しい出来事があったそうです。それ以来、夜泳の儀式が始まったとされています。
どんな催し物があるの?
日中は屋台などの出店があり、2023年は『復興支援イベントまるグル’23』というタイトルで、アーティスト18組、キッチンカー、屋台などが集まって盛り上がりました。
夕方からは『海女まつり』に移り、厳島神社から御神輿や山車が出て会場を盛り上げ、櫓を囲んだ白浜盆踊りが始まります。踊りは一般参加も自由なので、さまざまな人が踊りを楽しめます。
あたりが暗くなる頃、漁港では和太鼓の力強い響きがこだまし、弁財天と龍神の舞を観ることができます。
お祭り中盤になると、海女たちが松明をかざして厳島神社の階段を駆け下って海へと入り、お祭りのメインである『海女の大夜泳』が始まります。
暗闇の海に松明の灯が浮かび上がる幽玄な世界を堪能でき、フィナーレには打ち上げ花火があがります。昼から夜までお楽しみがいっぱいのイベントです。
海女ボラになって『海女の大夜泳』に参加した皆川美青さん
海女祭りは本来、地元住民しか参加できない伝統的なお祭りなのですが、現在は地元住民以外の方も海女ボラとしてお祭りに参加することができるようになりました。
とはいえ、松明を片手に持ったまま曲げ樽に乗って夜の泳ぐ海女ボラ。いきなりできるものではありません。
そこは運営側の手厚い配慮があるので大丈夫。前もって、海士(あま)さんの指導つきで練習会があり、本番さながらのリハーサルも行われます。本番前のテストで、上手く泳げそうにない方には「水際で松明を持って大夜泳を照らす」という大切な役割が与えられます。
今年、その海女ボランティアになった館山市在住の皆川美青(みなみがわみさお)さんにお話を聞きました。
ー海女ボラに応募したきっかけは?
移住した頃から、お祭り当日に海女ボランティアになって泳げるのは知っていて興味がありました。
今回、仕事(安房國TVでYouTube動画撮影)で撮るという機会を得て、海女目線の動画撮影という前人未到の何かをしたかったのが一番の目的です。
海女になって泳ぐという、16年越しの願いが叶ってうれしいです!
海女ボラ 皆川美青さんにインタビュー
ー海女ボランティアをやってみてどうでしたか?
少しでも興味がある方は、ぜひ参加することをお勧めします。
周りの人と声をかけあったりしながら泳げるので、やっていて楽しい。観客からの声援や拍手も励みになります。
ー何が難しかったですか?
泳ぐといってもあまり頑張らなくて大丈夫。平泳ぎの足ができればたいていの人はできると思います。
自分にとって曲げ樽のちょうど良いポジションを見つけるまで数回練習する必要があると思いますが、小一時間やればできるようになります。
スピード的にも速く泳ぐ必要はなく、むしろきれいな輪になっているかな、と周りを見るくらいの余裕があるといいです。
あと、DJ の方が「海女さん、頑張れー」とアナウンスしてくれるんですよ。その時、松明を回して応える一幕もあるので、練習しておけば良かったと本番で気づきました。
ー何が一番良かったですか?
花火が特等席で見られたこと! 思いがけず嬉しいポイントでした!
ー海女ボラになって感じたことは?
今回、80歳以上の海女さんたちが夜泳イベントを引退したと聞いています。そのため海女ボラの不足が心配されましたが、蓋を開けてみたら100人近くの応募があったようです。地域外からの応募も多かったとのことでした。
南房総に興味を持って訪れてもらえるのはとてもありがたいことですが、地元も負けてられないかも?と思いました。
まだやったことない人は、ぜひ来年チャレンジして欲しいです!
1番言いたいのは「やってみれば楽しいから地元のみんなも参加しようねぇ」ってことです!
●海女衣装は白装束
当日、白装束と曲げ樽(浮き輪の役割)を借りることができます。足袋やマリンシューズは各自持参。この白装束は昔の海女の仕事着で、現在はウエットスーツにオレンジ色の上着が海女着です。
海女ボランティア募集期間中、マイ海女着として海女の装束を購入することもできます。
白装束 11,000円
皆川さんから足袋について「祭りの足袋が、ビジュアル的にも海陸の出入りにも機能的にオススメです!」とアドバイスをいただきました。
皆川さんが海女になって自ら撮影した動画がこちら→
まとめ
お祭り当日、風が強く『海女の大夜泳』をやれるかどうか危ぶまれていました。
そんな強風が吹き、潮の流れも早いなか、松明を持って夜の海を泳ぐのは本当に大変だったようです。
困難な中を泳ぐ海女さんに「頑張って~」と観客からの声援が上がり、主役の海女さんと観客が一体となったひとときがありました。人の温かみを感じられるお祭りっていいですよね。
海女ボランティア参加者には海外の方々がちらほらいて、海女に関心のある人たちは国内外にも大勢いるようです。たくさんの海女ボラの協力によって、伝統的なお祭りが今年も開催することができました。
海女まつりに興味をもたれた方は、ぜひ海女ボラになって次回参加してみてはどうでしょうか。
祭りの主人公になってお祭りの醍醐味を味わえるのは、ここしかありませんよ!
海女まつり開催場所
〒295-0102 千葉県南房総市白浜町白浜630
~関連記事サイト~
海女まつり
http://amamatsuri.com
まるグル
https://maruguru.jp/
南房総市観光協会 海女ボランティア募集内容2023年
https://asobitabi.enjoyboso.jp/program/detail.html?CN=363737
現役海女がおすすめ!「海女まつり」で夏をさきどり体験!
海女という生き方【現役海女ライターにきいてみた】
海女という生き方②【海女のお仕事をザックリ紹介!】
海女という生き方③【拝見!海女のハンドバッグ】
海女という生き方④【後世に残したい海女の言葉】
この記事を書いたのは…
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香川県出身。
只今子育ても半ばにさしかかり、40代からやりたいことを仕事にしたいと一念発起。
プロカメラマンに師事しながら、駆け出しカメラマンとして千葉県南房総市を拠点に“カメラで地域おこし”をテーマに仕事している。人との出会いを大切にし、人との輪をつなげるお仕事ができたらいいなぁと思っています。
ライターとしても、“地域おこし”ができるのではないかと猛勉強中。
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